「京都を歩けば『仁丹』にあたる」樺山聡、京都仁丹樂會著
「京都を歩けば『仁丹』にあたる」樺山聡、京都仁丹樂會著
著者は京都の街を歩いていて視線を感じた。視線の主は住宅の外壁に貼られた仁丹の広告に描かれているカイゼルひげの男だった。ブリキ板の町名表示板に仁丹の広告が載っているのだが、こういう表示板は京都だけである。
森下仁丹の社史によれば、町名表示がなくて郵便配達人などが苦労しているため、明治43年から仁丹の商標入りの町名看板を掲示するようになった。東京や大阪にもあったが戦災で焼失、京都のものだけが残ったらしい。「仁丹」町名表示板はいまや絶滅寸前だが、京都仁丹樂會の調査では、喫茶店などに保管されている「埋蔵仁丹」もある。
京都新聞の記者が町名表示板の謎を解くユニークな京都ガイド。 (青幻舎 1980円)