「我拶もん」神尾水無子著
「我拶もん」神尾水無子著
大名駕籠を担ぐのが仕事の陸尺(ろくしゃく)を務める桐生は、腕がよくて「風の桐生」と呼ばれていた。
ある日、仲間の翔次が、評判の芝居をかけている市村座で木戸番と陸尺が大げんかしていると知らせにきた。相方の龍太も巻き込まれていると聞いて駆けつけると、騒ぎは既にお店の若旦那風の男が収めていた。
だが、連れの手代風の男の目つきが妙に鋭い。若旦那を装っていたのは、実は筑後国久留米領の当主、有馬頼徸だった。
8月に大雨で大洪水となり、右腕に大けがを負った桐生は仕事を失い、お救い小屋にいたが、桐生を捜していた有馬に救われる。
美丈夫で粋な駕籠かきが活躍する時代小説。 (集英社 1925円)