「シベリヤ物語」長谷川四郎著 堀江敏幸編
「シベリヤ物語」長谷川四郎著 堀江敏幸編
戦後5年間にわたってシベリアで収容所生活を送った著者が、当時の体験をもとにつづった短編集。
秋、「ぼくら」は馬車で運ばれ、シルカという町に到着した。町は農産物の集散地で、空き地には野菜の山がいくつも荷積みにされ、それぞれの貨車の到着を待っていた。
ある夜、町の有力者がやってきて、軍隊テントで寝ていたぼくらはたたき起こされ、キャベツの積み込みをさせられる。
翌朝は、町から20マイルほど離れたコルホーズで、今度は馬鈴薯の積み込みを命じられる。積み込みを終えたぼくらに女性の野菜班長がゆでた馬鈴薯をふるまってくれた。(「シルカ」)
レンガ運びや、道路工事などさまざまな労働に従事するかたわら、出会ったロシア人とのひとときの交流を描く。
(筑摩書房 1210円)