「レーテーの大河」斉藤詠一著
「レーテーの大河」斉藤詠一著
昭和20年8月10日、満州に駐留する陸軍鉄道第20連隊の最上は、ソ連軍の侵攻を受け、特別列車の運行要員に選抜される。ハルビン北方で資材を回収後、大連に向かう途中の小さな駅で逃れてきた大勢の日本人に遭遇。しかし、上官の命令で彼らを列車に乗せることはできなかった。そもそも回収した資材が何であるかも最上らは教えられていなかった。そんな中、最上は親とはぐれた少年少女3人を密かにかくまい、汽車に乗せる。
18年後、戦後結成された自衛隊で働く最上は、米軍の貨物を輸送する任務を命じられる。同じころ、最上に助けられた少年のひとり、耕平は、苦楽を共にしてきた幼馴染みの早紀子と志郎が何の知らせもなく姿を消し、不安を抱く。
戦争の傷痕を背負いながら生きる人々を登場人物に描く長編ミステリー。
(講談社 935円)