備えあれば憂いなし 老い支度本特集
「60歳を過ぎたらやめるが勝ち」和田秀樹著
「60歳を過ぎたらやめるが勝ち」和田秀樹著
今の時代、寿命は延び定年も65歳や70歳に引き上げられている。それでも60歳は特別な節目。老後に向け、新たな挑戦をと考える人も多いが、著者は逆に、人生の後半戦をより自由に穏やかに過ごすために「やらなくていいこと」を決めようという。「健康」や「感情」など5つの分野に分け、提案する。
認知症予防のために「脳トレ」をしている人は少なくないが、著者の経験上最も効果が高いのは他人との会話だという。読書は側頭葉、計算は頭頂葉を使うのみ。会話で前頭葉が刺激されることで老化を防ぐのだそうだ。
面白くないなどの「嫌な感情」を滞らせないことも大切で、切り替えには「それもそうだね」と唱えるのが有効。それだけで不思議と気持ちが外向きになる。「いい人をやめる」なら断ることから始めよ、自分のリズムを守るため「イライラ」とは距離を置くなど、人生の折り返し地点から身に付けたい「やめる」「手放す」「あきらめる」コツを伝授する。 (主婦と生活社 1650円)