備えあれば憂いなし 老い支度本特集
「ころんで、笑って、還暦じたく」山脇りこ著
「ころんで、笑って、還暦じたく」山脇りこ著
50代半ばを過ぎた頃、料理研究家の著者は転んで右手の小指を骨折した。初めて老いを意識した瞬間だった。やがて60歳が近づくにつれ、年齢だけで社会から軽視されていく感覚を味わうように。たとえば車やビールのCMを見れば、50歳以下をターゲットにしているのが分かる。社会の付属品になったようで愕然とした。だが、自身の物忘れや、体力低下などの自覚を経て「還暦を迎える前に、少しずつ老いを受け入れる準備をしておいた方がいい」と決意。できる範囲で機嫌よく過ごすための方法をアレコレ探しだした。
家事は早めに白旗をあげる。仕事が忙しすぎて家事放棄に至ったら、夫が洗濯好きだったことが判明してビックリ。お互いが気持ちよく暮らすには会話が大事だと改めて感じたという。
ほかにも顔をたるませないために「声を出して新聞を読む」、自分のハッピーさに貪欲になるため「優先順位を間違えない」「身近な人に不機嫌さを無防備にさらさない」など。
60代を人生のご褒美にするための準備の覚書。
(ぴあ 1540円)