「友が、消えた」金城一紀著
「友が、消えた」金城一紀著
大学生の南方(みなかた)は図書館で見知らぬ男に声をかけられた。
「君の出身高校は──だよね?」
男は法律学科の結城拓未と名乗った。南方とは別の高校の出身だが、南方が高校時代に仲間と行った最後の襲撃を見たと言い、相談があるという。南方が困っている者を放っておけない人間だと聞いたのだ。
「ただの噂だよ」と南方は断った。祭りの日々は終わったのだ。だが日雇い労働者の元締的存在のランボーさんに「必死で生きようとしていないね」と言われ、思い直して結城に声をかける。力を貸すと申し出ると、結城は言った。
「友だちがいなくなったんだ」
社会の不条理に立ち向かう大学生を描く青春小説。 (KADOKAWA 1760円)