東京五輪で木久翁は「世界中の財布が日本に来る」と大喜び
すると、木久蔵がストップをかけた。
「新商品じゃ失敗してるじゃないですか。木久扇ナポリタンで」
それは私も覚えている。確か5年前に発売されたはずだが。
「木久扇の名前の新商品を作りたくて、『木久扇ナポリタン』という即席スパゲティを発売したけど、売れなかったですねえ。すぐに撤退しました」
「だって、父は喉頭がんの治療の最中に試食してましたから。味なんてわかるわけないですよ。味覚が狂ってるんですもの」
しかし、木久扇の開発欲は止まらず、スイーツの新商品も考えているらしい。発売元はラーメンだけでいきたいと言っているそうだが。
「父と地方公演に行くのに羽田空港からだと、必ず早めに行って売店の棚を見ます。木久蔵ラーメンを客の目に留まる場所に置き換えたりしてチェックが厳しい。最近発売された円楽師匠の『腹黒ラーメン ブラック醤油味』も置いてありましたが、棚の一番下の目立たない所にありました(笑い)」
「うん、あれは売れないね」