今からでもいい、上川外相は麻生太郎氏の無礼を公の場で糾弾するべきだ
そう、この放言は麻生氏の選挙区である福岡県第8区での講演会で出てきたもの。「麻生」は福岡エリアで特に威光を放つ。副総裁の姓はそのまま地元の一大コングロマリットの呼び名でもあるのだから。明治時代に飯塚市で始まった「麻生炭鉱」をルーツとし、現在ではセメント、建築、学校、病院、ゴルフ場などの多岐にわたる分野の事業を手がける名門企業。中核となる「株式会社麻生」の会長は副総裁の実弟・麻生泰氏だし、副総裁自身も政界転身前は前身会社の社長を務めていた。ぼくが毎週出演する『田畑竜介Grooooow Up』を放送するRKB毎日ホールディングスにしても、株式保有比率第3位は「株式会社麻生」なのである。
麻生氏は選挙に強い。きわめて強い。小選挙区制に移行して初めての第41回衆議院総選挙(1996年)から第49回(2021年)まで、ただいま9回連続圧勝中。得票率が7割を上回るときもあった。いわゆる無風選挙。さきの麻生氏の放言はそんな力学が働くお膝元、もとい地元で出てきたものであることに留意したい。やだねー。
さて「美しい方とは言わん」と言われた上川外相。1月30日の閣議後会見で見解を問われ、「さまざまな意見や声があることは承知しているが、どのような声もありがたく受け止めている」と答えた。少なくとも表面上は意に介さないという態度を貫いたわけだ。一部では彼女を「大人の対応」と褒めそやす向きもあるようだ。これで初の女性総理に一歩近づいた、とも。