「人工肛門をつけると、患者さんの精神的な苦痛が大きいことは十分に承知しています。でも、人工肛門は次第に慣れることはできる。しかし、ISRで再発してしまったら、取り返しがつきません。がんを再発させないということが、がん治療の大前提ですから、患者さんがISRを希望されても、確実に適応できるという場合でなければ、私は行いません」
治るべきがんが再発するのを見るのは医師として耐えられないと、高橋部長は言う。
医師の中には、ISRの推進派と慎重派がいる。どの治療を選ぶかは、結局は患者本人にかかっている。頭に入れておくべきは、ISRが決して夢の治療法ではないということだ。