コツはいるが手術より確実 「多汗症」に効くボトックス治療
「A型ボツリヌス毒素製剤は汗腺であるエクリン腺に作用し、過剰な汗の放出を止めます。注射後4~5日目くらいから汗が出なくなり、効果は4カ月ほど続きます。残念ながら根本的な治療ではありませんが、言い換えれば、ボトックス治療で汗腺が“退化”することもない。夏の汗が多くなる時期だけボトックス治療を取り入れるなど、上手に多汗症と付き合っている方もいます」
■皮膚から2ミリのところに45度の角度で
安部部長の経験上、ボトックス治療の効果はほぼ100%。しかし、「ボトックス治療を受けたが、あまり効果が見られなかった」という患者も時々来院するという。
「ボトックス治療には、コツがいります。皮膚から2ミリのところに45度で注射を打つことで、薬の効果を十分に発揮できる。しかし、ボトックス治療を繰り返していると、皮膚が硬くなって、適切な場所にうまく注射できないことがあります」
ボトックス治療が駄目だった――とがっくり肩を落とす前に、治療が正しく行われていたかを考えるのもひとつの方法だ。ちなみに、かつては汗腺を薄く切り取る手術もあったが、ボトックス治療の方が確実で患者の負担が少ないので、手術を行う医療機関は減少傾向にあるという。