コツはいるが手術より確実 「多汗症」に効くボトックス治療
最高気温が35度を超える猛暑日が続き、連日汗だくの人は多いだろう。暑い季節に汗を大量にかくのは自然の摂理だが、治療を考慮に入れた方がいい「多汗症」の場合もある。
多汗症には、病気や薬剤使用に関連して発生する「続発性」と、それらと無関連に発生する「原発性」があり、原発性には「全身性」と、脇の下、手のひら、頭といった「局所性」がある。厚労省によれば、脇の下の原発性局所多汗症(=腋窩多汗症。以下、多汗症)の患者数は推定720万人。しかし、治療している人はその5~10%と少ない。
多汗症の治療で有名なNTT東日本関東病院ペインクリニック科・安部洋一郎部長が言う。
「多汗症は、ご本人が日常生活でパフォーマンスを出せない、質が落ちると感じれば治療が検討されます。ただし、通常レベルの汗なのに過剰に気にされている方もいます。ですから、診断はかなり慎重に行います」
多汗症と診断されたら、まずは塩化アルミニウムの塗り薬や内服薬を試すことが多い。十分な効果が得られなければ、A型ボツリヌス毒素製剤を脇の下10~15カ所に注射するボトックス治療だ。2012年から健康保険適用になった。