“健康効果”ハードル低く 新「機能性表示食品」要注意ポイント
実際に新制度を利用した食品が市場に出回るのは、6月ごろとみられている。消費者は食品と機能をしっかり見極める目を養っておきたい。
県立広島大名誉教授で、東北女子大教授の加藤秀夫氏(時間栄養学)は言う。
「これまでのトクホは、安全性や有効性を示す臨床試験が必要で、承認までには莫大な予算と時間が必要でした。しかし、そのトクホですら、実際にどれだけ健康効果があるか分からないものが見受けられます。ハードルが低い新制度では、消費者が期待する効果とは懸け離れた商品もたくさん出てくるでしょう」
■それさえ食べればOKと思い込むと…
そもそも今回から対象になる野菜、果物、魚介類といった生鮮食品は、産地や収穫時期によって、含まれている成分量の個体差が大きい。機能が表示されているからといって、その食品を食べれば、健康にいい栄養素を必要なだけ摂取できるとは限らないのだ。
横浜創英大名誉教授の則岡孝子氏(栄養学)もこう懸念する。
「機能が表示されることで、消費者が『それさえ食べておけば体にいい』と思い込んでしまう危険があります。たとえば鉄の場合、厚労省の食事摂取基準では、性別や年齢によって推奨量は大きく数値が異なります。しかし、新制度の表示基準なら、6・8ミリグラムを満たしていれば機能を謳うことができる。月経がある15歳以上の女性の場合、推奨量は10・5ミリグラムですから、懸け離れています。こうした成分はいくつもあるので、注意が必要です」