著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

バランスの良い食事で長生きできるは本当か

公開日: 更新日:

 厚労省、農水省が策定している「食事バランスガイド」というものがあります。これは主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果実の5つのカテゴリーについて、一日にどれくらい摂取するのが望ましいのか、わかりやすくまとめたもの。2005年6月に策定されました。ただ、このような食事ガイドに従った食生活で本当に健康になり、寿命が延びるのでしょうか。

 2016年3月22日付の「英国医師会誌」電子版に、「食事バランスガイド」をしっかり守った食生活と死亡リスクの関連を検討した論文が掲載されました。

 この研究は、心臓病がん脳卒中などを起こしたことがない45~75歳の日本人7万9594人が対象となりました。アンケート調査に基づき、食事バランスガイドの順守状況を70点満点で評価(点数が高いほど順守している)し、その点数により順守レベルが低いグループから高いグループまで4グループに分け、約15年間追跡調査しています。年齢や性別、喫煙状況など結果に影響を与えうる因子で調整を行い、死亡リスクを検討しました。

 その結果、一番順守レベルが低かったグループに比べて、一番順守レベルが高かったグループでは死亡のリスクが15%、心臓病による死亡が16%、脳卒中による死亡が22%、統計的にも有意に低下することが示されました。

 つまり、食事バランスガイドに従った食生活は死亡のリスクを低下させることが示されています。食習慣に気をつけている人はもともと健康意識が高い可能性があるわけですが、食事バランスの適正化が、健康的な生活維持に重要な要素である可能性を示唆した貴重な論文といえそうです。

【連載】役に立つオモシロ医学論文

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」