臓器や血管をジワジワ破壊 「過剰な塩分」があなたを蝕む
「厄介なのは腎臓がその機能の8割が失われるまで、自覚症状がないことです。だるさやしつこいむくみなどに気が付いた時には病状は進行しています」(松尾院長)
余分な塩分は直接的に心臓や血管を攻撃する。東邦大学佐倉病院循環器科の東丸貴信教授が言う。
「過剰なナトリウムは心臓の筋肉を動かす電気信号に乱れを生じさせ、不整脈や心不全を起こす可能性を高めます。また、血管を緊張させる交感神経を活性化する作用もある。血圧を上昇させて血管を傷害したり、心肥大や心不全を生じるだけでなく、直接的に血管の炎症や免疫異常を起こし動脈硬化や高血圧を生じている可能性が考えられています」
脳内出血が多かった長野県では減塩運動で大幅に患者数を減らしたことが知られており、脳と塩との関係も深い。
「また、過剰な塩分は骨の成分であるカルシウムを尿中に排泄して骨をスカスカにします。胃液を濃くして胃壁を荒らし、胃がんの原因にもなる。国立がん研究センターも減塩を勧めています」(都内の内科医)
6グラム以下の過度の減塩は逆効果との報告もあるが、過度な塩分が健康を損ねることは間違いない。
“見えない塩”が大量に使われている加工食品やインスタント食品は想像以上に多い。現代人の食卓は常に過剰な塩分の脅威にさらされている。せめて自分でできる味付けは塩だけに頼らず酢や出汁、生姜やからしなどで代用することだ。