染色体、性器、心…“赤ちゃんの性”一致するとは限らない
にもかかわらず、日本の戸籍法で「出生の届け出は14日以内」と定められているのは問題だ。曖昧な状態で社会的な性別が決定されてしまえば、その後、本人や家族が苦しむこととなる。
「戸籍法では性別、名前は未載で提出して後で追完できますが、その記録が戸籍に残ってしまいます。正当な理由があれば届け出の期限延長ができますが、家庭裁判所で数カ月の審議が必要になります。後日の変更も記録に残ります」
■思春期での「変化」に戸惑いも
大病院などではこうした事例を何度も経験しているため、いまはDSDの疑いがある赤ちゃんには、専門医らがチームを組んで社会的、養育的、法律的に適切な対応が取られるという。しかし、半数以上の赤ちゃんはそういう医療環境では生まれていないのが現状だ。
「染色体と外性器の不一致については血液検査で分かりますが、調べようと思わなければ分かりません。また、生まれた当初は染色体と外性器が一致していても、性腺刺激ホルモンや性ホルモンなどの産生低下により、思春期に異常が見つかることもある。生理が来ないので調べてみたら子宮、卵巣などの女性生殖器すべてが欠損していた、乳房の膨らみはあるものの、子宮がなかった例も報告されています」