セカンドオピニオンは患者の権利 遠慮はまったく必要ない
「もう治療法はなく、あと3カ月の命と告げられました。セカンドオピニオンの紹介状は書いてもらいました。でも、もうあんなに冷たい病院には戻りたくありません。A先生の顔も見たくありません。この病院で治療して下さい。死んでも構いません」
15年ほど前から、私の診察室に来られるセカンドオピニオンの患者さんは、ほとんどががん専門病院からの転院を希望される“がん難民”といわれる方でした。いまでこそ少なくなりましたが、毎週、このような患者さんが訪れていました。
多くの患者さんは、保険診療ができる薬剤がまだ残っていても、治療を受けていた病院の医師から「ガイドラインに載っていない。電子カルテで決められた治療以外はできない」「もう治療法がなくなったので好きな病院に行っていい」と告げられたと言います。
セカンドオピニオンは他病院の意見を聞きにいくのであって、転院したり、担当医をかえることを目的にしたものではありません。しかし、ここで断られたらもう行き先がありません。患者さんは必死です。
こちらでお引き受けして、治療を行った患者さんはたくさんいらっしゃいます。その結果、3カ月どころではなく、長く生きられた患者さんもたくさん目にしてきました。一方で、体の状態が悪いため抗がん剤治療は無理な患者さんや、たしかにもう治療法がないと思われる患者さんもおられました。