セカンドオピニオンは患者の権利 遠慮はまったく必要ない
そんなCさんは、私たちの病院にセカンドオピニオンのために来院されました。娘さんがインターネットで調べてくれたとのことでした。
持参されたCT写真では、肝臓の中央部に長径6センチのがんの転移を認めました。しかし、これまでの抗がん剤治療は量も期間も十分ではなく、次の治療として使える薬もまだ残されていました。そして、患者さん自身が抗がん剤による治療で闘う意思がはっきりしていることもあり、紹介元の病院の了解を得て、私たちの病院に転院して治療することになったのです。
Cさんには2カ月の抗がん剤治療を行い、下痢や食欲不振などの副作用も見られましたが、肝転移はまったく消失しました。晴れて自宅で正月を迎えることができるようになったのです。
私もうれしくて「よかったね」と声をかけると、Cさんは「神様はいたんだと本当に思いました」と喜びをあらわにされていました。初めて来院されたときの緊張した表情、退院を前にした穏やかな表情、その両方とも私には忘れられません。
がん拠点病院ではセカンドオピニオンを推進しています。自分の命がかかっているのです。患者さんの権利です。セカンドオピニオンに遠慮はいりません。