青島周一
著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

寒くなった日の4日後に脳出血が起こりやすい

公開日: 更新日:

 10月に入り、徐々に秋めいてきました。この時季は日ごとの寒暖差が激しく、体調も崩しやすいと言えましょう。気温や気圧などの気象条件は少なからず私たちの健康に影響を与えています。例えば、気温が下がれば血圧が高くなりますし、過去の研究報告によれば脳卒中は冬に多く、夏に少ないことが示されています。

 そんな中、気温の変化と脳卒中リスクの関連を検討した観察研究の論文が、「プロスワン」という医学・科学系の専門誌に2017年6月2日付で掲載されています。この研究では、脳卒中を発症し、広島県内の7つの病院で治療を受けた患者3935人が対象となっています。

 気温は「非常に低い=7.9度以下」「低い=8~12.7度」「普通=12.8~18.6度」「高い=18.7~23.7度」「非常に高い=23.8度以上」の5つに区分され、脳卒中発症前の気温と、その発症リスクが検討されました。脳卒中は脳の血管が詰まってしまう「脳梗塞」、脳の血管が破れてしまう「脳出血」に分けて解析されています。

 脳梗塞は、発症前日が非常に低い気温だった場合19%、非常に高い気温だった場合16%、発症リスクが増加することが示されました。また脳出血は発症4日前に非常に低い気温だった場合、33%リスクが増加することが示されました。なお、脳出血では前日が非常に高い気温だった場合、その発症リスクが28%低下することも示されています。

 脳梗塞に関しては寒くても暑くてもそのリスクが増加する可能性が示されていますが、脳出血に関しては、やはり気温が低いとそのリスクが増加するようです。寒暖差が大きくなるこれからの時季には特に注意したいところです。

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