専門医が解説 白内障手術で知っておくべきポイント
この「遠く」「近く」を医者が説明する場合、「遠く」であれば多くは目元から4メートル以上、「近く」は40センチ以下を指す。ところが患者のイメージする「見える距離」はそれと違うことが往々にしてある。
100メートル先が見えるイメージで「遠くを見えるように」と伝え手術を受けると、術後「見えない」となる。「近く」にピントを合わせると、本は読めても楽譜の音符は読みづらい。
「認識のズレは手術後の不満足につながりかねない。すべてはかなえられませんが、手術前に『どう見えるようになりたいか』『この見え方は困る』ということを、具体的に医者に伝えるべきです」
ただし、乱視があったりすると、ピントが正しく合っていてもメガネがないと見えづらい。また、標準的でない目の形による「計算誤差(眼内レンズ度数の計算誤差)」があったりすると、希望とは違う見え方になる。
「乱視矯正の眼内レンズもありますが、全員に適応ではない。計算誤差に関しては現在の医療技術では完全には回避できません」