眼科で異常なしの目の不快感は「心療眼科」で改善する
「まぶしい」「目が痛い」「ぼやける」といった不具合はあるのに、眼科では「異常なし」と言われてしまう。そんな時は近年、注目を集めている「心療眼科」だ。
2007年に心療眼科の領域を立ち上げた井上眼科病院名誉院長・若倉雅登医師は同病院で専門外来を担当しているが、予約から受診に至るまで3~4カ月待ちだという。
心療眼科は、眼球には問題はないが、目に関わる症状に悩む人を主に対象とする。その症状、原因は多岐にわたる。
一つは、眼瞼けいれんを中心にした目の症状だ。疾患名から「まぶたがピクピクする」といったイメージがあるが、違う。
「まず『目が開かない(開瞼困難)』。『弱い光でもまぶしい(羞明)、目が痛い・しょぼしょぼする』などの目の不快感、不眠、不安、抑うつ、焦燥といった精神症状も見られます。私は『眼球使用困難症』と呼んでいます。中にはドライアイと診断されているケースもかなりあると思います」
最重症例では、「仕事で医薬品検査を頻繁に行っていたところ1年半前から羞明。頭痛、気分障害で退職」(20代)、「長時間労働と向精神薬(ベンゾジアゼピン系)の服用で2年前から開瞼困難と羞明。身体痛や抑うつがありアイマスクを常用せざるを得なくなった」(30代)、「交通外傷で1カ月前から両眼痛と羞明。脳脊髄液減少症と記憶障害もあり、室内で目を開けられない」(50代)など。いずれも深刻な状態で社会生活が困難にならざるを得ない。