予備群だって危ない…高血糖を放置するとがんを招く
また、「AGE」(終末糖化産物)が、がんの発症に関わっているとも考えられている。AGEは糖とタンパク質が加熱されて出来た物質で、老化を進める原因のひとつとされている。
「糖尿病で血液中の糖が過剰になると、糖が細胞や組織をつくっているタンパク質に結びつく『糖化反応』が起こります。この糖化反応が進んで、タンパク質が元に戻れない状態まで変性した物質がAGEです。高血糖状態が長く続くとAGEが多く発生し、体内に蓄積されていきます。AGEは細胞の酸化を促進して変異させ、がんの発症につながるのです」
糖尿病の人はもちろん、正常よりも血糖が高い予備群も、そのまま放置してはいけない。
血糖は一日の中で上がったり下がったりを繰り返していて、その変動幅は「グルコーススパイク」と呼ばれている。予備群でも、血糖の変動幅が大きいと細胞を傷つけ、がんの発症リスクをアップさせるのだ。
「健康診断で予備群の疑いを指摘された人は、まだ大丈夫だと安心してはいけません。HbA1cと空腹時血糖値だけでは予備群=境界型糖尿病かどうかははっきり分からないので、まずは糖尿病専門医院などでブドウ糖負荷試験を受けて状態を把握しましょう。予備群の人は食事療法をするだけでも6割以上は正常な状態に戻ります。また予備群の段階でも、糖の吸収を穏やかにするαグルコシダーゼ阻害薬を予防的に使用することが保険適用になっています」
がんを防ぐためには、高血糖を放置してはいけないのだ。