予備群だって危ない…高血糖を放置するとがんを招く
国立がん研究センターの研究では、HbA1c値6・0~6・4%の予備群は、すべてのがんで1・28倍リスクが上昇すると報告されている。また、国立国際医療研究センターによると、糖尿病の手前の高インスリン血症の人は、そうでない人より2倍もがん死亡率が高いという。
■「インスリン抵抗性」と「AGE」がリスクを上げる
なぜ高血糖の人が、がんにかかりやすくなるのかについては、はっきりしたことは分かっていないが、いくつか報告がある。糖尿病専門医で「しんクリニック院長」の辛浩基氏は言う。
「糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの働きが悪くなる病気です。インスリンは血液中のブドウ糖の代謝を促す働きがありますが、糖尿病になるとその働きが弱まる『インスリン抵抗性』という状態になります。糖の代謝で使われないインスリンが血液中にたくさん残ってしまうのです。インスリンには細胞を増殖させる働きもあり、残っているインスリンが多くなると細胞の増殖も促進されます。その分、増殖の過程で細胞の“コピーミス”が起こる可能性が高くなるのです。がん細胞は正常な細胞のコピーミスが繰り返されることで出来ていきます。インスリン抵抗性によってがんが発症するリスクが高まってしまうのです」