声帯を削った昆夏美さん「新しい喉で新たな可能性を」
病気を通して学んだことは“マインドコントロール”です。マイナスなことが起こっても、気持ちをプラスに持っていくことが少しできるようになりました。
舞台を休演したときは出ている人が羨ましくて、悔しくて、ねたましくてどうしようもありませんでした。優しい励ましの言葉に苛立ってSNSも遮断して、自分の殻に閉じこもってばかり。そんな自分に嫌気がさす……という悪循環。特にひどかったのは、手術を決めるために悩んだ1週間です。人生で一番嫌な自分を味わいました。
そのとき思ったんです。“自分が上を向かなきゃ何も変わらないんだ”ということを。「喉が強い」と自信過剰になっていた自分も反省して、人並みに喉のケアをするようになりました。以前は、パワーと気合だけでしたからね(笑い)。今は舞台がコンディションのピークになるように心がけています。
▽こん・なつみ 1991年東京都生まれ。音楽大学在学中にミュージカル「ロミオ&ジュリエット」のジュリエット役でプロデビュー。その後も「ハムレット」「レ・ミゼラブル」など数々の大作にヒロイン役で出演、若手実力派として活躍している。現在、舞台「アダムス・ファミリー」にウェンズデー役で出演中(KAAT神奈川芸術劇場ほか各地で12月まで)。