「根拠に基づく医療」の授業は臨床医が行うべきではないか
とはいえ、まだ問題はあります。医学部でのEBMの講義の大部分は、内科や外科などの臨床医によって行われることは少なく、公衆衛生の分野の臨床医でない人たちに委ねられている場合が多いのが現状です。
論理による証拠だけでなく、事実による証拠に基づく医学教育が、公衆衛生の医師でなく、臨床医の手によって行われ、臨床医学全体に、さらに深く、広くEBMが浸透していくには、まだまだ時間がかかりそうです。そのためにこそ、かっけ論争はすべての医学生が学ぶべき内容だと思うのです。
そしてまた、論理が優先される医学においては、論理に合わない事実を前にすると思考が停止し、下手をすればその事実を無視してしまいかねない危険をはらんでいる。それを、患者さんとなる読者の方たちも知っておいて欲しいのです。