見逃しは減り排尿障害も回避 前立腺がん最新検査と治療法
しかし、小路医師らが始めたMRIと超音波の検査をすれば、前立腺がんの大きさや場所が分かる。勃起神経や尿道を回避して前立腺がんだけを部分的に治療できれば、勃起障害、排尿障害を起こすリスクは減る。
「そこで行っているのが、高密度焦点式超音波療法(HIFU)による前立腺部分治療です」
HIFUは肛門から超音波を入れて、高エネルギーの超音波を「前立腺全体」に当てる治療法。しかし、小さな領域を狙い撃ちして治療できる特徴も持っている。小路医師はこの原理を利用し、「前立腺の中のがんとその周囲のみ」に超音波を当てた。体にメスを入れない上に、がんを狙い撃ちにするため、失われる機能が少ない。
「比較的長期間にフォローしている20症例のうち、勃起機能も術前の状態を保ち、排尿機能は術後3カ月目で手術前とほぼ変わりなしです」
治療後は24時間以内に退院可能。こちらはまだ臨床試験中のため、行っているのは東海大医学部付属八王子病院のみだ。インターネットで「HIFU実施」の医療機関が多数出てくるが、それらは「前立腺部分治療」と異なる。適応基準も今後決まっていく予定。