大腸がんと心臓疾患は危険因子が共通している
■同時手術が行われるケースも
高コレステロールは子宮体がんや乳がんの危険因子でもあるため、特に中高年は注意が必要です。LDLコレステロールの数値が高い人は、がんや心臓疾患を予防するためにも薬物治療や生活習慣を見直すなどして下げる努力が大切になります。
実際、大腸がんと心臓疾患を並行して手術するケースは年間1~2例ほどあります。大腸がんは進行がそれほど速くない場合が多く“待てる時間”があるため、ほとんどはまず先に心臓の手術をして、安定した状態になってから大腸がんの手術を行います。
ただ、出血があって待てる時間がない状態だったり、全身状態が悪くて2度の手術に耐えられそうにないといった場合は、心臓と大腸がんの手術を同時に実施します。とりわけ、大腸がんとの同時手術を行わなければならないのは、大動脈弁狭窄症と不安定狭心症です。
大動脈弁狭窄症は心臓の中にあって逆流を防止する大動脈弁が動脈硬化などによって硬くなり、極端に開きにくくなる疾患です。血液の流れが悪くなって胸痛や息切れなどの症状が表れ、重症化すると突然死に至るケースもあります。