大腸がんと心臓疾患は危険因子が共通している
狭心症は、心臓の筋肉に酸素や栄養を送っている冠動脈が動脈硬化などで詰まりかけたり狭くなることで血液を十分に送れなくなる疾患で、冠動脈が完全に詰まると心筋梗塞に移行します。多くは、急に動いたり力を入れたりするなどのきっかけで胸痛や息苦しさを感じる労作性狭心症ですが、特にきっかけもなく安静時に発作を起こす場合は不安定狭心症と呼ばれます。これは心筋梗塞に移行する一歩手前の状態です。いずれも突然死を招く危険があるため、それほど待てる時間がありません。一刻も早い手術が必要です。
大動脈弁狭窄症は弁を交換する弁置換術、不安定狭心症は冠動脈バイパス手術が行われ、開胸手術になります。大腸がんの切除は開腹手術か内視鏡による腹腔鏡手術を行います。いずれも手術自体は2~3時間ほどで終わる比較的シンプルなものですし、メスを入れる場所が心臓と腹部で離れているため、同時手術が可能なのです。
近年、大腸がんは急増していて、国立がん研究センターの統計によると17年の大腸がんの罹患数予測は男女合わせて14万9500人でトップです。便潜血検査だけでなく、検出率が高いPET―CT検査や大腸内視鏡検査を定期的に受けることをおすすめします。また、生活習慣を見直して大腸がんの危険因子である高コレステロールや肥満を改善することも大切で、ひいてはそれが心臓疾患の予防にもつながるのです。