大腸がんと心臓疾患は危険因子が共通している
近年、急増している大腸がんと心臓疾患には密接な関係があります。
米国のアラバマ大学の研究チームの報告では、大腸がんの高齢者は心臓疾患を発症するリスクがアップすることがわかりました。2000年1月1日から11年12月31日までに大腸がん(ステージ1~3)を発症した65歳以上の7万2408例と、メディケア(主に65歳以上に対する医療保険制度)を受けているがん以外の患者からマッチさせた7万2408例を比較したところ、大腸がんの高齢者は心血管疾患やうっ血性心不全を発症するリスクが約3倍も高かったのです。
要因はさまざまあると考えられますが、中でも注目すべきは「高コレステロール」です。悪玉といわれるLDLコレステロールは、大腸がんと心臓疾患に共通する危険因子なのです。
LDLコレステロールの数値が高いということは、体の中に炎症を起こす“火種”が常にあるということです。血管内で慢性的に炎症を起こせば心筋梗塞や大動脈解離を招きますし、大腸で悪さをすれば大腸がんにつながります。局所で起こる慢性的な炎症によって細胞が障害を受け続けるため、どちらも発症しやすくなってしまうのです。