各都道府県が「受動喫煙をなくす」条例を制定してほしい
■現状では東京五輪に間に合わない
30年ほど前、一緒に働いていた3人の看護師ががんにかかり、そのうちの2人が亡くなったことを思い出します。3人とも喫煙していませんでしたが、窓もない控室は、いつもたばこの煙で満ちていました。当時の看護師(婦)は、夜勤の眠気覚ましもあってか、喫煙者が多かったのです。その頃、妊娠中も喫煙していた看護師2人が出産に大変苦労して、新生児に異常があったことも覚えています。
たばことの因果関係が明らかになっているがんは肺がんだけではなく、頭頚部、食道、胃、さらには肝臓、膵臓、膀胱、子宮頚部のがんなどたくさんあります。
たばこの煙の中には、たばこ自体に含まれる物質と、それらが不完全燃焼することによって生じる化合物があり、発がん物質が約70種類も含まれています。
これらの有害物質は速やかに肺に到達し、血液から全身の臓器に運ばれ、DNAに損傷を与えるなどしてがんの原因となるのです。
2010年、IOC(国際オリンピック委員会)とWHO(世界保健機関)は「たばこのない五輪の推進」で合意し、その後、五輪開催都市だったロンドンとリオデジャネイロでは、飲食店などの屋内全面禁煙が実現したそうです。そして、「その禁煙による飲食店の客離れはなかった」とする調査もあります。