身近な山も要注意 登山前に受けるべき検査を山岳医に聞く
「山では何が起こるか分かりません。アップダウンのある山道を歩くことによる心臓への負担に加え、山の高度によっては低酸素でさらに心臓へ負担をかけます。また汗をかいたり、呼吸による水分不足の問題もあります」
登山初日の午前中に突然死は起きやすく、睡眠不足や過度の飲酒が関連していることも分かっている。前述の男性は残念ながらAEDでも蘇生しなかったが、「倒れた場所の近くにAEDがなかった」というケースもある。
「最近は1人で登山をする中高年もよく見かけますが、何かあった場合、手の打ちようがない。また、“登山の三種の神器”と呼んでいる雨具、ヘッドライト、水分を含む食べ物すら持っていない無謀な登山者もいます」
■とっさの対応が難しい
橋本院長は、がん体験者の登山活動を支援している。準備をきちんとすれば、がん闘病中であっても安全に登山を楽しめる。しかし、その準備を怠れば、特に中高年は、たとえ“ハイキング気分で行ける身近な山”であっても、いろんな要因が重なって、“最悪の事態”につながる可能性があるのだ。