ウイルスサイズの医療ロボットが認知症やがんを治療する

公開日: 更新日:

 ナノマシンが狙う病気は、がんだけじゃない。脳腫瘍やアルツハイマー病といった脳の病気や高齢者に多い変形性膝関節症など、運動器や感覚器の治療のための最新ナノマシンの開発も進んでいる。

「脳には異物の侵入を阻むための血液脳関門というバリアーがあり、薬はもちろん、脳に必要なグルコースやアミノ酸以外は届きにくい。そこで、患者さんが空腹時にグルコース分子を表面に付けたナノマシンを注射する方法を開発しています。その後に食事をしてもらい、食事から得たグルコースとともに一気に脳内に侵入させるのです。この方法なら従来の100倍以上の薬を脳内に届けることができます」

 弾力を失い、すり減った関節軟骨に対してはメッセンジャーRNA(タンパク質合成の遺伝情報を写し取って伝えるリボ核酸)を搭載したナノマシンを注入することで軟骨細胞を刺激し、再生を促す研究も行っている。

「いずれはナノマシンが体内を24時間巡回し、勝手に病気の予兆を見つけて治療を行い、その情報を体外に知らせる、体内病院になるようにしたい。実現すれば、医療費が大幅に削減され、いつでも、どこでも、誰にでも、医療が受けられるようになる。それが目標です」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…