著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

<1>他の血液型より3~4倍失血死しやすい

公開日: 更新日:

 今年5月初旬、東京医科歯科大学から興味深い論文が発表されました。「TheimpactofbloodtypeOonmortalityofseveretraumapatients(重症外傷患者の死亡におけるO型の影響)」です。それによれば、「重症外傷で救急搬送されたO型の患者は、それ以外の血液型の人に比べて、死亡率が2倍以上高い」ことが分かったというのです。

 外傷の重症度は、国際的にISSと呼ばれる、1~75点(数字が大きいほど重症)の指標で表します。たとえば手足の骨折だけなら9点。これに出血を伴う内臓損傷が加わると13点。さらに脳挫傷も加わると一気に29点に跳ね上がります。一般にISSが15点以上なら、入院治療が必要とされています。今回の研究でも、15点以上の患者のみを対象にしています。

 対象となった患者は901人。血液型の内訳は、O型284人、A型285人、B型209人、AB型123人でした。それぞれのグループのISSには、ほとんど違いはありません(中央値18~20)。しかし日本人の血液型の割合は、A型4割、O型3割、B型2割、AB型1割なので、すでにこの時点で「重症外傷患者はO型が多い」と言えそうです。実際、RTSという別の指標でみると、O型のグループのほうが、重症度が高いようです。RTSは、患者の意識レベル、血圧、呼吸数をもとに計算される指標で、0点がもっとも重症で、上は7.84点までです。論文によれば、O型グループのRTSの平均値は6.85で、他のグループよりも0.2から0.4ほど低い数字になっています。

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