検査で精子が見つからなくてもあきらめてはいけない
少しでも精子がいれば顕微授精ができるので、一匹いるのとゼロとでは大違い。岡田教授らの外来では、他院で無精子症と診断されて来院する患者の約10%程度は隠れ精子症だという。
では、無精子症と診断された場合には、どんな治療法があるのか。無精子症には「閉塞性」(全体の2割)と「非閉塞性」(同8割)の2種類がある。閉塞性無精子症は、精巣で精子は作られているが、精子の通り道(精路)が閉塞している病態。原因は精巣上体炎、ヘルニア手術、先天性、パイプカットなどだ。
「精路通過障害である閉塞性無精子症の治療では、手術によって精路をつなげる『精路再建術』を行います。閉塞の場所や原因によって『精管―精管吻合(ふんごう)術』、より高度な『精管―精巣上体管吻合術』と術式が異なります。ただし、精路再建術は顕微鏡下で行う難易度の高い手術なので、国内で実施できる医師は限られます」
精路再建術が不可能な場合でも、まだ方法はある。「TESE(精巣精子採取術)」によって精巣から精子を採取して顕微授精を行うのだ。
次回は、非閉塞性無精子症の最先端治療を紹介する。