精子の「質」を落とす犯人は活性酸素 検査法と不妊治療法
男性不妊で精液検査を行うと、精子に異常が見つかることが多い。特に「数が少ない」「運動率が低い」「正常形態が少ない」ことが多く、この3つを総称して「OAT症候群」と呼ばれている。
原因は、精索静脈瘤やホルモン分泌異常などの場合もあるが、4割以上は原因がはっきりしない「特発性」だ。そこで注目されているのが、精子の「質」を調べる検査法。男性不妊症の最先端の研究・診断・治療を行っている独協医科大学埼玉医療センター・リプロダクションセンターの岡田弘教授が言う。
「精子の数や運動率などを調べる一般精液検査も大切ですが、もっと重要なのは精子の質がどうかということです。当院では、精子のDNAの状態を調べる『精子クロマチン構造検査(SCSA)』をルーティンの検査に加えています。それによって特発性とされていたOAT症候群の患者さんの多くが原因を特定されて治療できるようになってきました」
SCSAは、精液を特殊な蛍光色素で処理して専用の機器にかけると、どの程度の割合で精子のDNAが損傷(DNA断片化率)しているかが分かる検査。結果は、グラフに「赤(DNA損傷の精子)」「青(正常な精子)」「緑(未熟な精子)」の3色で表示される。一度に2万個の精子を調べられ、誤差は1%未満だ。