「ミラーマン」石田信之さん 8度の手術で辿り着いた境地
もうずっと、悪いところが見つかっては叩く“もぐら叩き”のような状態です。周囲から「よくそんなふうに元気そうにしていられますね」って言われるくらい(笑い)。どうやらボクは抗がん剤がよく効く体質みたいなんです。だから、がんにも効くけれど、副作用で他臓器への影響もいろいろ出るようです。
入退院を繰り返しながらも仕事は受けていて、今年も映画のお話を2本いただき、その間にイベントで地方にも行きました。医療スタッフも協力的で感謝しています。「あと10年は仕事をしたいな」。主治医にそう言うと、なんとも言えない顔をされるんですけど……(笑い)。
つくづく「今、この一秒一秒を大事にしたい」と思いますね。過去は決して戻らないから、一瞬一瞬を自分にとって有意義なものにしたい。たとえば、目の前のこのコーヒー1杯をおいしく飲もうとか……。
ずっと時間に追われて流されてきました。気づけば「ミラーマン」から47年も経ってた。でも、もう少し生かしてもらって、そのあとのんびりしたいと思っています。
▽いしだ・のぶゆき 1950年、秋田県生まれ。70年にテレビドラマ「柔道一直線」で俳優デビューし、翌年には「ミラーマン」の主人公・鏡京太郎役で人気を博す。その後もテレビ、映画、舞台などで活躍。現在、原作・脚本を手掛けた朗読劇「遠き夏の日」が全国興行中。東京公演は9月29日(土)に「古賀政男音楽博物館けやきホール」で行われる。