新薬も続々 関節リウマチ治療は現在どこまで進んでいるか
「ひとつは新たな治療標的分子に対する薬剤の開発です。現在はサイトカインGM―CSFの受容体に対する抗体に関する臨床試験や、複数のサイトカイン経路をブロックするJAK阻害薬の開発が盛んに進められています」
さらに、予防についても研究が進んでいるという。リウマチの原因は遺伝が20%で、残りの80%は生後の環境であることがわかっている。ここに予防の鍵があると考えられているのだ。
「関節リウマチ発症の4~5年前から体内にリウマトイド因子や抗CCP抗体が出現し、量が増えてきます。そこで、リウマチ家系の人や健康診断で抗体に陽性反応が出た未病の人の発症をどう防ぐか、という研究が行われています」
治療においてはリウマチ専門医の存在が不可欠だ。現在、日本には80万~100万人の患者がいるとされているが、専門医の地域偏在が大きな課題になっている。
これを受け、厚労省は今年新たに「リウマチ等対策委員会」を設置。専門医不足を補うべく、薬剤師をはじめとしたリウマチに詳しい医療者を育成し、患者が安心して治療を受けられるように取り組んでいる。
関節リウマチの治療技術や環境は、大幅に改善されている。そうした恩恵を受けるためには、まずは早期に診断を受けることが重要だ。関節の痛みや腫れが4週間以上続くようなら、病院で診てもらったほうがいい。