アルコール依存症に関係する遺伝子が次々と発見されている

公開日: 更新日:

 実はアルコール依存症は関連する遺伝子が次々と見つかっています。

 例えば、「オピオイド受容体遺伝子」です。

 オピオイドは麻薬性鎮痛薬やその関連合成鎮痛薬などを指す言葉ですが、麻薬=オピオイドではありません。中枢神経や末梢神経に存在するオピオイド受容体への結合によりモルヒネに似た働きをする物質を言います。

 こうしたオピオイド物質は、植物由来のものもあれば化学的に合成されるものもあります。また、エンドルフィンのように生体に危機が迫った時に体内で作られる内因性のオピオイドもあります。

 オピオイド物質は鎮痛効果を持つと同時にその報酬・依存作用により、依存症の原因になり得るといわれています。

 実際、オピオイド受容体が変異すると、アルコールによる快楽が続くなどして、アルコール依存症を発症しやすくなることがわかっています。

 また、最新の医療では、精神の安定や睡眠などに関連する神経伝達物質のセロトニンに関連するある受容体がアルコール依存症に関係していると注目されています。この受容体が壊れると、アルコールと水の区別ができなくなり、アルコール依存症の症状が出る、ともいわれています。

 いずれも、その理論を応用してアルコール依存症の薬が作られ、一定の効果を上げているようです。

(国際医療福祉大学病院内科学・一石英一郎教授)

【連載】お酒と健康 8つの疑問

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動