生まれつきの能力で決まる? 下戸でも鍛えれば強くなるの
【Q】お酒が苦手です。営業部の先輩は「営業にお酒は不可欠。下戸でも鍛えればお酒は強くなる。とにかく飲め」と言います。本当でしょうか?
【A】半分、本当です。下戸とは、飲むとすぐ顔が赤くなったり、気持ちが悪くなったりして、お酒を受け付けない人のことを言います。
こういう人がお酒を受け付けない理由は、アルコールを無害化する能力が乏しいからです。アルコールから分解されてできたアセトアルデヒドは毒性があり、その血管拡張作用により、顔が赤くなったり、血管が膨張することで、それを取り巻く神経を圧迫したりして頭痛を引き起こしたりします。
しかし、しばらくすると2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)により酢酸に分解され、無害な酢酸になります。このALDH2の能力は遺伝子により生まれつき決まっています。人の努力で何とかなるものではありません。
しかし、アルコールを肝臓でアセトアルデヒドという物質に分解させる仕組みは、1つだけではありません。3つの代謝経路が関わっています。一つはアルコール脱水素酵素、もう一つはカタラーゼ系、最後にミクロソームエタノール酸化系(MEOS)です。この中で、アルコールの代謝能力が最も高いのがアルコール脱水素酵素です。しかし、この酵素はいくらアルコールを飲んでも鍛えることはできません。