梅毒<1>典型的な症状が出ないからといって安心はできない

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 病原体は「梅毒トレポネーマ」と呼ばれるらせん状をした細菌の一種で、皮膚や粘膜の微細な傷口から侵入し、感染する。典型的な症状は、感染から通常1カ月前後に最初(早期梅毒第1期)の症状が現れる。性器や肛門周辺などの感染した部位に「しこり」や「潰瘍」ができるのだ。また、同時に股の付け根のリンパ節が腫れることもある。

 これらの症状は痛みがないことが多く、治療をしなくても1カ月ほどで自然に軽快する。しかし、体内から病原体が消えたわけではなく、時間をかけて次々と体をむしばんでいく。特に妊婦は要注意という。

「妊婦が感染すると、『先天梅毒』といって胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形などを起こす場合があります。先天梅毒の報告(16年は14件)も梅毒増加に伴って年々増加しています」

 では、なぜ近年急増しているのか。届け出の周知が徹底されてきたからという見方もあるが、外国人観光客の急増が影響しているのではないかという指摘もある。たとえば中国で最も猛威を振るっている性感染症は梅毒。中国衛生部の報告によると、16年度の梅毒感染者数は46万4457人で、15年前の15倍以上に増加しているという。

 次回は、「偽装の達人」といわれる梅毒の多彩な症状を取り上げる。

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