「ひとは生きてきたように死んでいく」──本当だろうか?
長くホスピスケアをされた柏木哲夫さんは著書「『死にざま』こそ人生」の中でこう書かれています。
「ひとは生きてきたように死んでいく。しっかり生きてきた人はしっかり死んでいく。周りに不平を言いながら生きてきた人は私たちスタッフに不平を言いながら亡くなっていく。感謝しながら生きてきた人は感謝しながら、ベタベタ生きてきた人はベタベタと死んでいく。これまでの生きざまが死にみごとに反映する。よき死を死すためには、よき生を生きねばならない」
水野さんも柏木さんも宗教を信じておられると思うのですが、書かれたようなことを本当に心から思っておられるのでしょうか?
私は、真面目に、人生のお手本のように生きてきた方が安らかに死ぬとは限らないように思うのです。たくさんの死に会ってきて、「ひとは生きてきたように死んでいく」とはとても思えないのです。
たとえ、感謝して亡くなったとしても“よき死”なんてあるのでしょうか。災害や殺人の場合は別にして“悪しき死”というものがあるのだろうか?