「ひとは生きてきたように死んでいく」──本当だろうか?
■同じ病気なのに亡くなる人もいれば完治する人もいる
がんの治療では、思わぬ効果があったり、思わぬ悪い結果が出たりします。約35年前、抗がん剤のシスプラチンが発売される前の年だったと思うのですが、胚細胞腫瘍の肺転移で2カ月入院していた2人の大学生が亡くなりました。そして、その翌年にシスプラチンが使えるようになり、同じ病気の若い患者は見事に「完全に治った」のです。
近年、話題になっている免疫チェックポイント阻害剤も同じです。もう末期で、誰がみてもダメだろうと思われる患者が、一発逆転、見事に蘇る場合もあるのです。
私が相談を受けた患者でも、それが1人2人だけではありません。真剣に「自分のお墓をどうしよう」と話されていた患者が、がんから解放され、生きる気力に満ちて再び仕事に取り組めているのです。
この薬が市販されていない2、3年前にこの病気になったら、間違いなく亡くなっていました。いったい、この差はなんなのでしょう? 本当に人は先のことは分からない。運命なのでしょうか。神業なのでしょうか。