透析の中止はがん終末期患者との治療法とは全く意味が違う
たとえば、他の病気でも患者から同意書(確認書)を取る場合は、対面で説明した後、帰宅してからよく考えてもらって、翌日以降にサインをもらうのが一般的です。また、多くは「撤回できる」とされています。
透析をしないでいると数日で尿毒症になり、苦しさのあまり透析の再開を希望する患者もいらっしゃるでしょう。
それでも、「患者の自己決定権」「患者の意見確認書という書面がある」と言われる方がいるかもしれません。
もちろん、本人の同意がなければ透析が実施できないのは確かです。無理やりできることではありません。
しかし、透析さえすれば助かり、日常生活が送れて長く生きられる患者が、透析しない選択をして、そして亡くなっていくのを、医師もスタッフも黙って見ているのでしょうか? 透析の中止は、がんの終末期患者が余命いくばくもない状況になって「がん治療中止」を選択し、緩和医療をするのとはまったく意味が違うと思うのです。
透析は週3回、1回4~5時間かかります。長年続けてきたら、やめたくなる時は誰にでもあるでしょう。それでも、透析さえすれば長く生きられる、みんな我慢して治療を受けている……医療者が患者の心に寄り添いながら励ましてくれているから、患者は続けていると思うのです。