減酒、睡眠、運動…生活習慣を変えればメンタルは安定する
「これらを実行することで、私のところに来る患者さんの薬はどんどん減っていきます」
かつて、「うつは心の風邪」というキャッチワードの下、疲れたサラリーマンが次々に「うつ病」と診断され、抗うつ薬を服用させられた。しかし、その8割に薬は無意味だったと井原医師は言う。そして、うつ病ブームが一段落すると、今度はかつてのそううつ病が「双極性障害」と改名され、さらに双極性Ⅱ型という「プチそううつ病」も追加され、うつが治る際の一過性の気分高揚も「双極性障害」と診断されるようになった。こうして「プチそううつ病」を含むすべての「双極性障害」に対し、「生涯にわたる薬物療法が必要」と主張され始めた。この情報操作が、働く人の心の健康を損なう一因になっていると井原医師は語る。
「本来は、アルコールを減らし、やめて、睡眠を十分取り、体を適度に動かすなどして、生活習慣を修正すればよくなるはずだったのです。その程度の気分変調を、やれうつ病だ、やれ双極性障害だとカラ騒ぎして、次々と薬を飲ませ、それも延々と飲ませ続けるのはどうかと思います。長寿社会は最近始まったのに、それ以前の時代に若い人たちから取ってきたデータで、いったいどうして『生涯にわたって薬物療法が必要』と主張できるのでしょうか。