「闇から現実に帰ってきた」宮本亜門さんが語る前立腺がん
早い人で数週間、長いと何年も治らないケースがあるそうで、まだ退院から約3カ月のボクはその後遺症が続いています。自分の体をコントロールしきれない不安はぬぐえていません。
もうひとつの後遺症としては、性的機能がなくなること。ボクは60歳を越えているので、もうあまり深い悩みにはなりませんでしたけれども、それでも、それまでの生き方や考え方を変えざるを得ない。自分の在り方を改めて模索しました。
ボクは以前よりも自分がいとおしくなりましたし、大切にしたいと思うようになりました。これ以上ない良いタイミングで病気が分かって、手術ができて、すぐに仕事に復帰できたこの幸運をかみしめて、次にできることをやっていきたい。そんな決意を新たにしました。尿漏れが完治する日がいつになるかはわかりませんが、焦らず、自分の体と向き合っていることは、ボクにとって貴重な体験になっています。
というのも、ボクは毎年人間ドックを受けていたんです。後になって去年の結果を見たら、「PSA値が上昇しています。前立腺がんか前立腺肥大の疑いがあるので検査を受けてください」とちゃんと書いてあったんですよ。でも、まったく読んでいなかった。さらに胃痛か何かで訪れた病院でも、「このPSA値ヤバイ……嫌なもの見ちゃったな」と呟かれたことがありました。ただ、それ以上は何も言われなかったので、「なんでそんな言い方するんだ……だから病院は嫌いだ」と、そっちの印象が強く残ってしまって自分の体は顧みなかった。それを大いに反省しています。