永田宏
著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

大腸がん<3>術後補助化学療法 使える抗がん剤が6種類に増

公開日: 更新日:

 今世紀に入ってから、大腸がんに使える抗がん剤が増えました。それに伴って抗がん剤の標準治療も変わりつつあります。まずは術後の補助化学療法についてみていきましょう。対象は主にステージⅢの、比較的体力がある患者です。再発を予防し、生存期間を延長することを目的としています。

 初版(2005年)の治療ガイドラインには、5―FU/LV療法のみが、標準治療として挙がっています。5―FU(フルオロウラシル)は1950年代に開発された薬で、90年ごろまでは単独で使われていました。その後、LV(レボホリナートまたはロイコボリン)という薬と一緒に使うと効果が上がることが分かり、現在でも標準治療のひとつとして使われ続けています。

 その後、UFT(テガフールウラシル)やCAPE(カペシタビン)という、5―FUに近い薬が承認されたため、第2版(09年)にはUFT/LV療法とCAPE単独療法が加わりました。さらにOX(オキサリプラチン)という、5―FUとは異なる薬理作用を持つ抗がん剤が承認され、これと5―FU/LV療法を組み合わせたFOLFOX療法が、第3版(10年)に加えられました。またCAPEとOXを組み合わせたCAPEOX療法も有効であることが証明されたため、第4版(14年)に加えられています。そして第5版(16年)には、胃がんでよく使われているS―1(TS―1)が、大腸がんでも有効であるとして追加され、現在に至っています。つまり現時点で大腸がんの補助化学療法に使える標準治療は6種類ということです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 2
    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

  3. 3
    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

  4. 4
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  1. 6
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  2. 7
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  3. 8
    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

  4. 9
    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  5. 10
    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題