大腸がん<2>放射線治療 寿命延ばす効果は期待できそうもない
大腸がんでは、ステージⅡ以上の直腸がんに補助放射線療法を行うことがあります。結腸がんの多くは腺がんで、放射線はあまり効きませんが、直腸では扁平上皮がんが多く、放射線が効果を発揮しやすいのです。
照射のタイミングによって「術前」「術中」「術後」照射に分かれます。
すでに確立された治療であるため、治療ガイドラインの初版(2005年)から最新版(19年)まで、内容はあまり変わっていません。ただ第3版(10年)までは大ざっぱな記述のみでしたが、第4版(14年)以降は詳しいコメントやエビデンスが載るようになり、現在に至っています。
術前照射は、腫瘍を縮小させることで手術を容易にすることと、肛門をできる限り温存することを目的として行われます。最新版によれば「肛門括約筋温存率と切除率の向上が得られることが示唆される」と書かれており、一定の効果があるようです。ただし術後の生存率まで改善するかというと、現時点では「エビデンスは存在しない」と記されています。また、放射線障害による後遺症も少なからずあるようです。