著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

胃がん<5>術後補助化学療法は第2版で「エビデンスに乏しい」

公開日: 更新日:

 ステージⅡとⅢの胃がんでは、再発を予防する目的で、手術後に補助化学療法を行います。しかし「胃癌治療ガイドライン」の初版が出た2001年の時点では、予防効果が確かめられた抗がん剤はありませんでした。

 第2版(04年)になっても状況に変化はなく、「再発予防を目的として、種々の単剤、多剤併用化学療法の臨床試験が行われてきたが、現在まで確実な延命効果を証明したエビデンスは乏しい」と書かれています。さらに補助化学療法の適応条件は、「臨床試験においてのみ実施すべき」となっています。ちなみにその当時は「がん放置療法」が全盛期で、とりわけ抗がん剤は「かえって寿命を縮める」と嫌われていました。補助化学療法には風当たりが強い時代で、抗がん剤では再発を予防できないという意見もよく聞かれました。

 しかし06年に、S―1(エスワン:TS―1ともいう)という薬が有効であることが示されました。大規模な臨床試験の結果、手術だけの5年生存率が61・1%だったのに対し、S―1投与群では71・7%だったのです。以後、これを使った補助化学療法が胃がんの術後の標準治療になり、今日に至っています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇