表面に浅い潰瘍やびらん…なぜお酒を飲むと胃が荒れるのか
いよいよ令和元年も数日で終わりです。最後は仲間内でお酒を飲み年忘れ、という人も多いでしょう。お酒を飲むといつも楽しくてついつい飲み過ぎちゃうという人は、自身の胃袋のことも少し考えて欲しいものです。
大量にお酒を飲んだ人の胃袋を見ると、浅い潰瘍や出血性のただれ(びらん)、あるいは出血が至るところに見つかります。お酒に含まれるアルコールが胃酸による自己消化を防ぐ胃の粘膜防御機構を壊し、胃粘膜障害(血流障害)を起こすからです。その結果、腹痛や吐血・血便・嘔吐などの症状が表れます。本来、少しのお酒は消化酵素の分泌を増やしたり、胃の血流を良くすることで胃の動きを活発にして消化運動を高進させ、食欲増進にもつながります。
ところが適量を超えると、消化管に障害を起こします。口から摂取されたアルコールは食道を通り、胃で20%、小腸で残りの80%が吸収され、90%以上が肝臓で代謝されます。肝臓で代謝されたアルコールは、呼気や尿として体の外に排出されますが、その量が多過ぎると、分解しきれなかったアルコールや分解途中に生成されるアセトアルデヒドと呼ばれる毒性の強い物質が、血液を通じて長時間、体内を漂い、粘膜の血流や消化液などに影響を与えるだけでなく、消化管平滑筋内のタンパク質や神経を障害し、消化管の運動機能に影響を与えます。