高熱を下げる解熱鎮痛薬の選び方 イブプロフェンはNGか
「COXには内皮細胞を保護して粘膜を修復させる働きもあります。NSAIDsはその働きを阻害してしまうので、胃腸障害などの副作用が表れるのです。胃腸だけではなく、血管の内皮細胞の保護作用も抑制するため、例えばインフルエンザなどで高熱が出て、脳の血管が炎症を起こして傷んでしまっているときにNSAIDsを服用すると、血管の修復を阻害して脳血管に損傷を招き、脳症の悪化につながるのではないかと考えられています」(神崎浩孝氏)
2000年度の「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」の調査では、NSAIDsを使用したグループは、他の解熱剤を使用したグループと比べて予後が悪かったと報告されている。厚労省は、明確な因果関係は認められないもののインフルエンザ脳炎・脳症患者に対してNSAIDsの投与を禁忌とした。
神崎氏の見解では「38度5分を超えるような高熱が出た場合、熱性けいれんを防いだり、臓器へのダメージを考えると解熱したほうがいい」という。インフルエンザと同じくウイルス感染症である新型コロナウイルスでも、高熱が出たときはアセトアミノフェンを使うのが無難といえる。